|
11歳の白血病の女の子が、口から、鼻から、このままではショック状態で今晩中に死んでしまうだろうというような状態で、ずっと静かに血を流し続けている。そばでお父さんがティッシュや布でぬぐっている。でもすぐにそれも真っ赤になってしまう。止血剤がないんですよね。
当時私の娘も11歳だったんですが、そのお父さんと話をしたとき、「私の娘は死んでいく」。死んでいくって言ってもまだ意識はあるわけですよ。
そう言わなければならないその親の無念さは…と思ったんですが、「あなたの娘さんは元気ですか?」と聞かれて、「おかげさまで」と答えたら、「それはよかった。あなたの娘さんにはアラーのご加護がありますように」と言ったんですよね。自分の娘は死んでいくんだけれども、こんな死に方をしていく子がイラクにいる。それが伝わらないので、せめてこれをあなたの国の人に伝えてほしいと言われた。他にも忘れられない話がいっぱいあるんですけどね。 |
|
| ── |
その後日本に戻って、「セイブ・イラクチルドレン・名古屋」を立ち上げました。 |
|
イラクで今引き起こされていることは、イラクだけの問題だけではなくって、現代戦争がどれだけ破滅的な結論を導き出すのか、イラクの人々は代弁していると思ったんです。多くの子供たちがガンや白血病になっている。結局そういうことが、サダムフセインという指導者を持っているだけで、全部ごまかされて隠されようとしている事実。サダムフセイン相手だからその国の人たちに何をやってもいいというかのごとき状態は、世界に伝わらなければない。しかしなかなか伝わらない。
イラクの人たちは「ヒロシマ」のことをよく知っている。「ヒロシマの国のあなたたち」って言われるんですが、その「ヒロシマの国のわたしたち」は情けないほど何も知らない。「ヒロシマの国のあなたたちなら、放射能でやられる側の無念さなどの気持ちも分かるでしょう」と言っていました。「分かるでしょ」といわれても、忘却のかなたにあるような話で、イラクの人たちは「私たちと同じヒロシマ」と言っているのに、「ヒロシマ」を抱える日本人のほとんどは、イラクがそんな状態にあるなんて知らないですよね。よほどアンテナの高い人以外、私たちはイラクで引き起こされているこの事実を何も知らない。
イラクの人たちは、単にテクノロジーが発達しているという以上に、「ヒロシマ」っていう国であるがゆえに、日本に親近感を持ち、日本が助けてくれるという感覚を持っている。だから情けなさがあって、知っちゃったからにはきちんと伝えるのが義務であろう。そう思いましたね。 |
|