Me~dia4月号
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Me~dia 4 大学生談。8大学生活、そこには出会いが溢れ、腕を伸ばせば恋が掴める……そんな幻想もあった。(はりぃ(仮))友人って息を吸うようには出来ないんですね。(てりー)大学生談名大生について大学の先生と語る名古屋大学高等教育研究センター准教授近田 政博 先生――こんにちは。今日はよろしくお願いします。早速ですが、先生が持っていらっしゃる「名大生」像についてお聞きしたいと思います。 名大生はね、変に満足している人が多いんじゃないかと思う。この「変に」っていうのは、不安感と幸福感が両立してしまっているということ。 名大はかなり施設が充実していていろんなことができるし、そこそこ親の期待にも応えている立場であるわけで、ほどほどに幸せなんだよ。自分の生活圏内に大事な幸福がある。けど今の時代、就職なんかの将来は不安だから、将来の希望はあまり感じることができない。この幸福感と不安感の両立が奇妙な満足感を作ってると感じる。実は、人間は将来に希望がなくて右肩下がりだと今の状況に満足してしまうっていう説があって、その説はけっこう説得力をもっているように思います。 あと最近は、リスクを取りたがらずに、予定調和の無難な選択をするようになってきていると思ってます。留学なんかも、バブル期と比べて減った気がする。なんでかというと、名大生は一応「学歴」なんかの既得権があるから、慎重になりやすいからだと思う。 ただ、「身を捨ててこそ浮かぶ瀬もあれ」って言葉もあるように、既得権を捨てて何かに飛び込んでいくターニングポイントが人生には何回かあるんですよ。そこで動かないと、人生で劇的な変化はおこらずに、ほどほどになると思う。これは若い時には分からなくて、40代くらいになって世の中のからくりが見えてくるようになって分かるようになったことだけどね。――なるほど。では、名大生はもっとリスクを取っていった方が良いと? 一概にそうとも言えない。 僕は世の中には2種類の人がいると思っていて、まずは社会の秩序やセオリーを維持する人。1+1=2になるという考え方の人だね。一方で、「1+1=2」を疑うっていう人もいる。スティーブ・ジョブズさんなんかはそうだと思うんだけど、イノベーションやブレイクってそういう既存のセオリーを疑える人が起こすと思う。名大の先生はこういう人だと思うよ。むしろ研究者ってそういう人だから。名大生はこの考え方だと維持する側を好む傾向があると思うんだけど、両方が社会には必要で、どちらかだけだと回っていかない。確かにセオリーを疑う人って周りから迷惑がられ 先の見通しが立たない現代社会。そんな中だからこそ、長年にわたり学生を見つめてきた大学の先生に聞いてみた。大学生、そして「名大生」とは?

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