かけはし No.318 送別特集
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2015年3月をもって名古屋大学を退職します。工学部学生として入学し、あっという間に46年間が経過しました。思い起こせば楽しいこと,苦しいこと、いろいろなことがありましたが、幸い周りの先生方やスタッフ、学生に恵まれ、また、充実した研究設備、環境で教育研究に打ち込むことができ,大過なく終えることができました。感謝の気持ちでいっぱいです。名古屋大学は、赤﨑勇特別教授,天野浩教授が昨年のノーベル物理学賞を受賞されたことで注目の的となっています。今世紀になって日本から11名がノーベル賞を受賞されていますが、そのうち6名が名古屋大学関係者です。このような大学で仕事ができたことは誇りですし、今後の名古屋大学の発展を願っています。 また、最近の話題として、トヨタ自動車が世界に先駆けて燃料電池自動車「MIRAI」を販売開始したこと、三菱航空機の国産小型ジェット旅客機「MRJ」の試験飛行が今春実現されること、JR東海がリニア中央新幹線の着工を決めたことなど注目すべきニュースが報じられています。いずれも東海地域の高い技術力を有する厚い産業集積を背景に、先端技術の粋を集めた次世代モビリティの進化につながるものです。工学の力で人類に貢献することは、我々のような科学、工学に携わる研究者にとっての使命であり、一つひとつ夢が実現していくことは喜ばしい限りです。 著者もこれまでに百数十名の卒業生を世に輩出してきました。いろいろなところで活躍してくれていると思っていますが、教員にとってそれが一番の喜びです。彼らがこれから新しい技術を開発し、豊かで安全な世界を築いていかなければなりません。福島原発事故のように、人間が豊かな生活を期待して作ったものが人類や地球に危害を与えることになり、さらにまたそれを科学・技術の力で護ることができない悔しい思いを二度と繰り返さないために若い人の活躍を期待しています。 最後にもう一つ若い人へのお願いです。グローバル化が進む現在、君たちの相手は世界です。国際力を身につけ国際人として世界に羽ばたいてください。(いしかわ・たかし)名古屋大学の思い出石川 孝司工学研究科 教員Ⅱ

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