かけはし No.315
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- 6 - この2月からウクライナ情勢が、世界の耳目を集めている。私自身は丁度外国出張中で、発端のことを、余り詳しく知らなかった。それで少し勉強してみたが、実に色々な問題がもう相当長期に亘って続いていることが分かった。 2014年4月18日現在、漸く、当面の事態に関して、米、ロ、ウクライナ暫定政権、EUの外相級のジュネーブでの会談で暴力の連鎖を止め、緊張緩和のための措置をとることで合意したとの発表があった。ただ、その後のニュースを見ていると、一向、占拠した連中が立ち去る気配はなく、何処まで実効性があるか、まるで、見当が付かない。 一筋縄ではいかないウクライナの情勢を知るとその合意も時間稼ぎのように思える。民族の問題、エネルギー問題、財政の問題その他過去から引き継いだ種々の問題、特に、チェルノブイリの原発のことは大いに問題である。チェルノブイリを引き受けるロシアも加わっての約束も、今度破られている。ニュースに一喝!ニュースに一喝!ウクライナ ロシアはクリミアの時とは違う対応を取っている。ロシアにとってクリミアほど死活的な重要さはないし、寧ろ、今のままでウクライナに連邦制を押しつけロシアも加わって、親ロ勢力を操る方を選んだのかも知れない。 今、親ロ派が騒動を起こし、地方政府庁舎や警察署その他を占拠している東部ウクライナと地理的に西欧に近い西部ウクライナは、かなり民族構成も違っているという。そして、東部には地下資源が豊富であり、西部には国家予算の1割も費やしてなんとか現状を維持している事故を起こしたチェルノブイリ原発という負の遺産がある。ロシアから、西欧に天然ガスを供給するパイプラインの多くがウクライナを通る。エネルギーのことで、度々苦汁を飲まされているヨーロッパ各国はアメリカで成功したシェールガス掘削を本気で考え出しているという。 それに、暫定政権を作っている三つの党は全部合わせても過半数に達していないということも知った。そして、暫定政権を支える一つの党にネオナチ勢力スボボーダ(自由)があるのも、余り報道されていないが、厄介な勢力で、西欧がこれを本気で支持することになれば、又別の問題も起こってくる。 財政赤字は4兆円という。ロシアが1.5兆円とガス代金を支援すると言うが、財政的に苦しいアメリカは0.1兆円の支援しか表明していない。過日の20カ国の財務相・蔵相会議の支援はどんな内容なのか。西欧が狙うのは、寧ろウクライナの破綻で、IMFがその後始末を狙っているとも言う。そうすると割を食うのはロシアだという。奇々怪々でちょっとやそっとの素人の知識では解明できない。 ウクライナ情勢の真相を知るには、日本の新聞報道やテレビのニュースで知られる程度では、とても刃が立たない。もう少し、真相を報道して詳しいことを教えて欲しい。 表面の報道だけから眺めていれば、住民投票を強行し、その結果から、ロシアが自国に併合してしまうというようなことは、白昼夢みたいなものだ。流石の中国も非難はしないものの支持もしかねた。自国内で、チベツトやウイグルで同じようなことが起これば困るからだ。力による領土変更にもなる。 ただ、単純に考えると、ロシア民族の人達が、ロシアへの編入を望むのも一理あるようにも思えるが、居るのはロシア人だけではないから厄介である。一つの民族がかたまって独立国を作ると言いだしたら、世界中が大混乱になるだろう。 この問題は、もう少し、多方面の情報を得て考えていきたい。 (田 2014年4月19日記) その後大統領選挙が曲がりなりにも行われ、ポロシェンコ氏が当選した。未だ東部での戦闘も行われ、予断を許さない情勢である。(2014年6月17日記) 茶番劇 ウクライナ東部のドネツク、ルガンスク両州での親ロシア派の「住民投票」、投票を強行した人達は独立賛成が圧倒的多数だと言って「独立」を宣言したという。 私が知っているのはせいぜい新聞テレビ等での報道だけである。それによってでも、前もって賛成にマークされた投票用紙を車で搬送したとか、投票終了後1時間半後に賛成が89%と発表されたとか、親ロシア派はロシアの政治勢力幹部との電話「投票結果はでっち上げろ、99%では多すぎるから、89%で十分だ」が盗聴されていたり、投票所の写真で、2枚の用紙を投票したり、何回も何回も投票したり、とにかく、何の正当性もないというEUのアシュトン代表の言葉の通りだ。第一、選挙人名簿もなかったと言う。 ところで、この二州が独立す

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