かけはし No.310
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- 11-争力や国内投資が増して「良い物価上昇」は起こっていないという分析である。 これを読んで強い違和感を覚えるのは私だけだろうか。 そもそも「良い物価上昇」とは何か、記事をよく読んでみると、一応、賃金上昇により購買力が増した結果の物価上昇を指すように思える。しかし、それがいい事なのかについては、依然納得が出来ない。経済学者達が、そういう物価上昇がなければデフレが続くというのは、何とか理解できるけれども、年金生活者にとっては、上昇どころか、年金の減少が決まっている。生活保護費も削減された。そういう人達にとって、「良いインフレ」というような事がありうるのだろうか。 当然なのかも知れないが、それは全て資本主義の根幹にある企業の側からの視点であって、生活者の側から見たものではないし、まして、生産活動にタッチすることの少ない老齢者、年金生活者は無視されているとしか思えない。 世界のほとんどの主要国で多くゼロ金利である(ひょっとするとイスラムの教えが浸透しているのかも知れないなどと思ってしまうが、表面的に一致しているに過ぎまい)。若い内に勤倹実直に勤め、或る程度の財をなし、利息で生活しようと思っていた人はアウトである。そういう資産家も、マネーゲームに参加して酷い目に会うのが関の山である。 むつかしい世の中である。(田 2013年8月1日)莫大な契約金 野球やサッカー選手の契約金とか、移籍金とか、年俸のニュースが、よくマスコミを賑わわせている。 つい最近では、ヨーロッパでの話であるが、新聞にイングランド・プレミアリーグの、ウェールズ代表のガレス・ベール選手のことが載っていた。スペインのレアル・マドリードが、彼を獲得したという。移籍金は未公表であるが、BBC放送は史上最高の8530万ポンド(約130億円)、週給30万ポンド(約4500万円)と伝えている。これまでには、8000万ポンドが最高だったという(中日新聞9月3日)。 いずれにしてもとてつもない金額である。もう金額は忘れてしまったが、野球で、松井秀喜選手や松坂大輔選手が大リーグに渡ったときには相当高額なお金が動いたことだけは記憶している。イチロー選手の時もそうだった。 ストーブリーグで、野球選手の契約更改の時にはいつも何億円という数字が紙面におどる。こういうのを見てかどうかは知らないが、頑是無い子供が、将来の夢として、プロ野球選手、サッカー選手になりたいなどと言っているのをよく聞く。夢は夢でいいけれども、こういうお金の話には違和感を持たざるを得ない。 ところで、この、獲得金というのは一体誰の物なのか。契約金という場合は多分選手個人の物なのだろうが、こういう移籍金などは一体誰に渡るのか。 プロ野球でポスティングシステムなどということを聞くが、その場合お金はその選手の所属していたチームにはいるらしい。言葉は悪いが、いい選手を高く売って、そのお金で補強をするわけだ。それはそれでいいと思うが、選手個人に、莫大な契約金などが入るとしたら、我々の知ったことではないとは思うが、そんな大金をどうするのだろう。 何より、野球にしても、サッカーにしても選手にそんな大金を払って割に合うのだろうか。サッカーのことは余り知らないが、野球選手でも二軍にいる選手などはなかなか大変らしいということを身近に耳にする。そんな大金を得る選手はほんの一握り、多くの選手達は日の当たらないところで、虚しく(と言ったら悪いけれども)夢を抱いて頑張っているのだろう。 他に、ゴルフなども個人競技として有力選手は多額の賞金を稼いでいる。ただ、彼らはいろいろの費用も払っていることを思えば、合点のいかないほどの金額ではないように思う。相撲などでは、そういう話を聞かない。第一、十両以上にならない限りまともに給料も貰えないという。この頃日本の大相撲は国技と言われながら、長らく横綱は外国人だ。日本人が弱くなったとは思わないが、確かにハングリー精神に欠けるところがあろうとは思う。こういうことに、こんな多額の契約金などのことが全く影響していないとは言えないようにも思う。(田 2013年9月19日)

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