かけはし 送別特集
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- 31-- 31- 1980年名古屋大学(経済学部)に赴任し、33年経ちました。この3月、定年で退職します。 私は本が好きで、時間があると、書籍部を訪れました。まだ、現在の南部生協会館ができていない時代で、設立に際しては、教員側の委員の一人として、協議に参加しました。 南部生協会館の2階に上がって、まず正面に新刊が並び、右手に法律・政治、そして自分の専門である経営学・経済学の書棚があり、そして歴史、教育、心理、哲学、文学と順に見ていくのが、私の「定番」です。どんなに大きな本屋さんでも、私の専門の組織論に関する本は、多くありません。生協では、小さいながらも適切な本揃えがあり、随分助けられました。 また、1985年に初めて本を書きましたが、それを講義に使ったため、試験前に随分売れ、「その月のベスト・セラー」に選ばれたこともあります。試験のために学生が買っただけですから、ベスト・セラーでも何でもないのですがー。 2度、大きな買い物をしました。一つは、ルーヴル全集(『ルーヴルとパリの美術』、小学館)であり、もう一つは、蕪村全集(岩波)です。前者は、今思うと、なぜこんなものを買ったのだろうと思います。「清水の舞台」から飛び降りたつもりで買ったのでしょうか。ただ、手元にあって、時折眺めると、いつかルーヴル美術館に行きたいという思いに駆られますし、写真を見ているだけでも、幸せな気分になれます。蕪村全集もなぜ買ったのか、分かりません。最終回の配本(第9回)は、2009年でしたが、前回配本より数年遅れで、文字通り、「忘れた頃に」やってきました。翌年、司修『蕪村へのタイムトンネル』(朝日新聞出版)が出て、早速読みました。それ以来、思い出しては、ひもといています。 幸い自宅が近くなので、定年後も生協書籍部に立ち寄り、新刊書や専門書をみて、至福のひと時を過ごしたいと思います。長い間、ありがとうございました。今後もよろしくお願いします。(きしだ・たみき)岸田 民樹経済学研究科 教員名大生協の思い出- III -

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