かけはし No.307
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- 19 -- 19 -魔言ないが、以前には余り聞かなかった。精々、「嬉しい」とか 「頑張ります」「光栄だ」くらいだったように思う。3.仕事をする 以前の感覚では、「仕事をする」というのは生計を立てるために働くというような 意味合いが強かった。頼まれた仕事をきちんとする、というのも、掃除とか、洗濯とか、お使いとかいう家事一般の頼まれ事をする場合など、正に頼まれた仕事をするということだ。 ここで言う、違和感のあるのは、やはりスポーツ選手の使い方である。オリンピック選手に選ばれた選手が、キッチリいい仕事をします、などという。仕事に相違ないが、やっぱり何となく違和感を持ってしまう。4.商品 衣料品とか食料品を売り物という意味で「商品」というのは普通である。ところが、 銀行や証券会社が、新商品発売などと称して、定期預金や、投資信託を売り出す。 売り出す方から見れば確かに「商品」なのだろう。しかし、私の感覚では、品物で はないようなこういう類の物を「商品」というのはしっくり来ない。かといってどういったらいいか、名案は浮かばない。5.おつかれさま 辞去する人に対する挨拶として、同輩や後輩には「ご苦労さん」とか「では、また」とかと言って済ますことが出来るが、目上の人に対してはなかなか適切な言葉がない。「有りがとうございました」とでも言っておけば無難だが、適切とは言い難い。そこで登場したのが、この「おつかれさま」である。それが忽ち、色んな場面で使われ、朝一番に、「おはよう」でなくて「おつかれ」などと言うのはもう着いていけない。この頃、事務から届くメールの最初に「お疲れ様です」とある。もう完全に「こんにちわ」と一緒である。若い人達は会うにも、別れるにも「おつかれ」と言っている。更にメールなどではこれを「乙」と書くのだそうだ。 (T)輝き続けるだろう。 私は、大鵬と同じ歳、お負けに生まれは、僅かに私の方が10日早いだけ。何の自慢にも成らないが、王貞治さんも同級である。王さんはジャック・ニクラウスと同級だと言っていたから、私も同級である。 だから、大鵬の横綱時代は、私の高校生・大学生の頃に重なる。当時言われたのが「巨人・大鵬・卵焼き」であることはもう随分報道されている。当時の人気は今からは一寸想像できない。柏戸と同時に横綱になって、柏鵬時代と言われ、玄人筋には柏戸が人気だったが、一般のファンには大鵬の人気は絶大だった。整った顔立ち、すらりとした上背、安心してみていられる相撲の強さがそろっての人気だった。 生い立ちなどを聞くと、大鵬の苦労の程はよく分かる。入門時には 70 kgしかなかったという。努力努力の結果であった。その大鵬が引退した後、大鵬部屋を開いたが、100人もの入門希望者が居た。今、どんどん相撲部屋が減っており、又、新弟子として入門する力士も少なくなった。日本の国技と言われるのに、長らく、日本人横綱は居ない。この数年、賭博や麻薬の使用など不祥事が続いた。以前のような人気は今はない。その中で、角界のことを心配しながら大横綱は世を去った。上手く言えない寂しさがある。 最近とも言えないけれども、聞いていて、何となく違和感が残ってしまう言い回しについて、若干感想を述べる。 1.結果を出す スポーツ選手がよく使っている。抜擢されて起用されたとき、きちんと活躍していい成績を残す、ということを彼らは「結果を出さなければいけない」という。この場合、何かすれば必ず結果は残るはずだが、この結果は「いい結果」のことである。「評価」とか「果報」なども無色透明ではなく、プラスの意味合いを持つ言葉になっている。 2.誇らしい・誇りに思う 特別のことはない。前項同様、野球の選手やサッカーの選手がよく使う。同じような場面にあっても、相撲取りなどから、こういう言葉を聞くことはないように思う。 決して、悪い言葉では 政府は、今日になって国民栄誉賞を亡くなった大鵬に授与した。遅きに失したというほかない。 (T)この頃の言葉

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