かけはし No.304
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- 16 -言魔 今年の夏の天候を一口で言おうと思うと、「不安定だった」ということになろうか。こう書きかけて、「大気が不安定だ」という言い方は特に何ともないけれども「不安定な大気」という言い方には、自分で書いておいておかしな話だが、何となく違和感を抱かされる。皆さん如何でしょうか。最初から、おかしな事を言いました。 それはさておき、この夏は日本の天候は全国的に異常だった。尤も、最近は異常が普通になってしまったので、こう言っても地表近くの空気の温度差が相当にあって、それが大気を著しく不安定にし、各地に落雷や突風、竜巻被害をもたらした。なんと言っても、とても「だらしのない」「しまりのない」天気だった。 沖縄は台風の通り道とは言うものの、今年は頗る大きく成長した台風の長期滞在。本土の方は、高気圧で暑いけれども、台風は近づけなかった。水不足、干魃まで言われていた朝鮮半島に恵の水を持っていった。 長期予報は難しかろうが、見事に外れた。今年は一昨年のような猛暑には成らないというので期待していたけれども。幸い、電力不足は、国民一人々々の節電努力により回避された。原発必要論が、財界からは相変わらず喧しい。確かに、安全な原発ならコストは火力発電よりは低いだろうが、一旦事故があったらお終い。事故が起こらないとは言えないのだ。敦賀で原発の事故が起これば、岐阜県は今の福島県より酷い被害、当然愛知県もだろう。何より、水が汚染される。こんなリスクを負ってまで原発を稼働させたくない。一気には無理として、全廃する方向でなければ成るまい。研究し尽くして、本当に本当に安全が確保され、使用済み核燃料の処理がきちんと出来るようにな飲み放題不安定な大気 最近、と言うより、もう余程前からだろう。「飲み放題」ということが、学生たちと一緒に宴会などするとよく言われるようになった。町の中にも「飲みたい放題」「食べたい放題」と言う看板や広告をよく見る。其れが又、この頃流行りなのだろう、けばけばしく書いてある。 一定の時間内、メニューにある物ならどれだけ飲んでもいいというものである。割合気楽な制度である。ただ、これにもピンからキリまであるのは、物のあり方として当たり前のことだろう。注文したいので呼んでも中々来ない、前のを空けてしまわないと次のを寄越さない、等々。普通は、そう沢山飲めるものではないから、こういう商売が成り立つのだろう。中には、これで沢山飲めてホクホクの御仁も居るかも知れないけれども、大半はそうでもなかろう。土台、酔ってしまえば勘定など分からなくなるかも知れない。しかし、最近の若い人達、飲んでいるのは存外甘い物が多いようである。 私は、こういう「〜放題」というのは余り好きではない。何となく、人間の慎みが失われるような気がする。 ところで、この「放題」とはどういう事か。何かを「したい放題」「やりたい放題」という言葉は始終聞く。一体どういう事なのか。広辞苑に聞くと、今言ったような意味が書いてあり、「傍題」との混同かと有る。「傍題」とはどういうことかと言えば、和歌や俳句、あるいは連歌などで、出された「題」を読まず無関係な事を読んだり、本題から外れていることを言うとある。以前、私は「放題」とは「はなち題」とも言い、決まった「題」で読まないことを言う と聞いたような気がした。今回調べてみたがそんな説はなかったが、捨てがたいような気がする。 これは今でも、和歌・短歌や俳句を募集するのに、前以て題を出しているが、これを「兼題」という。出された題にしたがって読むことを「題詠」というが、こういった題を出さず、好きなように読むのを「放題」と言うと聞いたのだ。和歌文学大事典等にはないから、私の聞き違いか、そう言った人の間違いか、どっちかわからないが、やりたい放題というのにはピッタリするような気がする。(T 7月3日)仕方のないことかも知れない。9月の中旬になって、北海道で30度を超えるような日があり、全国の真夏日や猛暑日は殆ど記録ずくめであろう。雨も、九州では、随分長期間に亘って大量に降った。今になってやっと、東北、北海道で雨が降っているが、其れも、降れば土砂降りと言った降り方だ。関東東北にかけては、例年の一割とか二割一寸という少なさ、節水が始まった。 大陸からの寒気の南下が度々あり、その割には少しも涼しくはないのだが、上空の冷気と、

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