かけはし No.304
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- 11- まず最初に、この企画を成功させるために様々な形でご協力していただいた皆さんに深く感謝します。そして、この企画に関心をお寄せいただき来場された皆様にも感謝します。2日間でのべ120名ほどの来場者を得る事ができ、フェアトレード商品の売り上げは4万5千円ほどで、約6千円の収益は東日本震災募金といたしました。 「ミニ平和資料館」は平和憲章委員会が主催して、毎年名大祭の有志企画として実施しているもので、名大祭後半の「土曜・日曜」の最も人の集まる期間に「全学教育棟」の教室を使って開催しています。最近は「実行委員会」を作り、地域の平和団体にも呼びかけて、多様な展示や講演の企画を実施してきました。今年は「震災復興」を大テーマに、東日本大震災の現地復興支援活動、ボランティア、放射能汚染実態調査などに参加された皆さんから多数の報告をいただき、広い視点から「震災復興」を考える企画を実施しました。<震災復興> 震災復興に係わった多様な方々から、これだけまとめて直接話を聞ける機会はこれまでになかったことなので、大変興味深く聞くことができました。テレビなどでは同様のレポートを見聞きしていますが、被災地の混乱は「復興とはなにか」という根源的な問いを私たちに突きつけています。 特に被災地出身の方は自分の町が大きく変貌し、先の見えない事態に至ったことに大きなショックと将来への不安を抱いていることが切々と訴えられ、参加者の心を大きく揺さぶりました。具体的な内容は報告者の立場もあって詳しく書くことができませんが、悲惨な結果を招いた「原子力行政」にわたしたち名古屋大学も「専門家」という立場で荷担しているのではないかと強く自省する必要があると思います。しかし、このような参加者の思いに反し、事態は芳しくありません。「被災地医療」「風評被害」はソフトウェアや仕組みの問題として、「除染」「汚染物質の処理」は技術開発として早急に取り組むべき研究対象です。 これと同時に、東京電力の事故後の対応や政府の原発再稼働の判断など、真実への謙虚さが全く観られません。なりふりかまわず「原発再稼働」に動く政府や原子力安全委員会(この文章が皆さんのお手元に届く頃には「原子力規制庁」)の面々の、あいも変わらぬ「発想力」と「展望」に、この人たちに「被災地復興」と「日本のエネルギー政策」を任せて良いのかと思ってしまいます。<フェアトレード> もう一つの企画は「フェアトレード」です。フェアトレードの取り組みはミニ平和資料館の常設企画になっています。昨年までは旧ユニセフ班など学生さん主体の取り組みで会場を一緒にして取り組んでいたのですが、今年は名大九条の会の取り組みとなり、改めて「フェアトレード」について学び直すこととしました。このような意味から「トニーズ ロンリー チョコ」というドキュメント映画を鑑賞しましたが、私たちが何気なく食べているチョコレートが実は児童労働の温床になっていることに衝撃を受けました。グローバル経済が生産国の子供たちを農場に狩りだしている非人道的搾取の実態を浮かび上がらせたこの映画は、字幕スーパーを入れるなどして全世界で観られているようです。留学生にも参加してもらって、フェアトレード商品原産国の人々の暮らしぶりも聞くことができました。<企画の意図と悩み> 来場者が120名と多いのは名大祭実行委員会の「クイズラリー」に参加していたからです。「ミニ平和資料館」は足を止めていただきたい企画なので、この意味では、来場者全員が私たちの企画に参加したということではありません。今回の実質的参加者は30名ぐらいです。 平和憲章委員会では2000年より毎年「ミニ平和資料館」を実施してきました。私たちの意図は、名大祭という人が多く集まる機会に、名古屋大学に関係する様々な平和運動(直接・間接を問わず)を紹介・交流する「場」を提供し、参加者に元気がでる、新しい運動のきっかけになるような、いわば「平和のごった煮」のような「企画」です。しかし、現実には平和憲章委員会に参加するメンバーが固定化し、せっかく内容の濃い企画を実施しても肝心の聴衆が少なく、大きな広がりになっていません。今年は「震災復興」という多分これまでに取り組んだうちの最も切実で身近なテーマで、参加していただいた講師の皆さんには申し訳なく思っています。名大祭有志企画「ミニ平和資料館」を終えて震災復興を掲げても参加者が増えず全学技術センター 河合利秀

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