かけはし No.303
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- 10 -言魔素晴らしい記念日薫風 私の誕生日は五月五日、子供の日だ。それは決まっていることで、特別素晴らしいわけでも何でもないが、今年は、特別の意味がある。 日本国内にある五十四基の原発、2012年5月5日を期して全部停止した。最後まで頑張って動いていた、北海道電力、泊原子力発電所の原発が、定期検査のために停止した。原発が稼働して以来、この様な状態は初めてだという。 政府や電力会社の言うように、原発が本当に安全ならば、炭酸ガス排出のない原子力発電ほどいい物はないだろう。しかし、福島原発の事故以来安全神話は崩壊した。色々報道されていることを聞いてみると、起こるべくして起こったとまでは言えないけれども、数年前には津波の被害については警告が出されていたにもかかわらずそれは無視されてしまったという。あの大震災の時、福島第一原発の電源が全部喪失したというニュースがあった後も、電源車が向かっているが、途中、交通の障碍などでなかなかたどり着けない、などと言われていたのを聞いた。それでも、最後には、何とかなるだろうなどと高をくくって聞いていた。 しかし、抑も、今にして思えば、電源が全部駄目になってしまうといった時点から、もう駄目だと判断しなければならなかったのだろう。先週、当時の枝野官房長官や、海江田経済産業大臣、菅総理大臣、佐藤福島県知事などが、原子力調査委員会で当時のことを証言していた。当事者にとっては、大変なことだったろうと思う。それを聞くと、未だ、あの程度でおさまったのは不幸中の幸いだったとさえ思える大変な事故だったのだ。これから先、この後始末のために、何十年も無駄な出費が強いられるだろう。 なんと言っても、使用済み核燃料の始末をきちんとする方策さえ定まっていない。六ヶ所村に厖大な費用を掛けて建設した使用済み燃料の再処理工場は、今になっても稼働していないし、高速増殖炉もんじゅも95年に事故を起こして以来、一旦再稼働はしたものの、直ぐ事故を起こしてストップしたまま、一体どうするのかさえ決まっていない。 安全で、後始末がきちんと出来るなら理想のエネルギー源かも知れないが、安全でもなく、使用済み核燃料の始末がきちんと出来ない。この状態では、しばらくは止まった原発の再稼働は難しかろう。研究用に残しておくべき物もあろうが、今、全部止まっているのが絶好のチャンス、我慢して、色々節約の工夫をしてでも他の再生可能なクリーンエネルギー源を開発したり、増強したりして今後のエネルギー需要を満たしていって欲しいと願う。 ところが、この二三日雲行きが怪しくなってきた。再稼働に反対していた、滋賀県、京都府、大阪府、大阪市の長達が集まって関西広域連合という会議が開かれたが、安全性にたとい多少の不安はあっても、どうも大飯原発の再稼働を容認するらしい。今まで不安をかき立てておいて一体どういう事? と思う。 私自身は、今まで原発の危険性に無知であったことを反省して、この記念すべき日を無駄にしないようにしたい。(5月30日) 「風薫る」は五月の枕詞である。「五月晴れ」などという言葉は、旧暦から、今の暦に変わってから、その意味するところが変わってしまった。以前は、梅雨時の晴れ間をさして「五月晴れ」と言っていたのだそうだ。それでも、爽やかで、暑くもなく寒くもない好天を意味するに違いはない。今日など暑くも寒くもなく、梅雨入り前の絶好の日和である。 今年は、今日まで、未だ最高気温三〇度以上の真夏日は一日もなく、その意味では総じて快適な陽気である。 今年は、遅くまで寒い日が有った。かと思うと一度に暑くなるということが繰り返された。五月になってから、日本各地で、突風や更にとんでもなく強烈な竜巻まで起こっている。このところの天気予報では盛んに積乱雲が発生して、ヒンヤリした風が吹いたり、黒い雲が出てきたら、出来るだけ頑丈な建物に避難するようになどということが言われている。 この原因としては、上空に寒

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