かけはし No.302
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- 13-2012年4月8日)という文章に接して、その内の一つの問題に対して同様の危惧を抱かれていることを痛感した。浜氏はNHKの朝のビジネス展望などの時間に辛口の経済金融関係の評論をなさっている方で、ヨーロッパの金融危機に関しては、かなり悲観的な見方をしておられたことが、印象に残っている。 この文章で、浜氏は固有名詞は出していないが、誰を「偽りの英雄」に擬しているかはかなりはっきりしていると思う。少なくとも、私の中では今取りざたされているある人物に結びつく。氏は初めに新島襄の「一国を維持するには、決して二、三英雄の力に非ず、実に一国を組織する教育あり、智識あり、品行ある人民の力に拠らざる可からず、是等の人民は一国の良心とも謂ふ可き人々なり」という言葉を引いている。今の世の中に立派に通用する言葉であり、これからも指針とすべきものである。 日本の政治状況から来る一種の手詰まり感、閉塞感からやたら英雄待望論が漂い初めていることは否めない。国民を鼓舞し導くリーダーシップの欠如が喧伝され、期待される強いリーダーの装いをした「似えせ非ヒーローたち」が頭角を現そうとしている。彼らは分かりやすい言葉で、人々の心を揺さぶる。現下の状況を作り出した人達を罵倒して人々に爽快感を与える。ここにかつてのファシズムの台頭を許したような状況の出現を恐れる(と言っても、私がそれを経験したのではないが、そんな雰囲気を感じるのである)。 浜氏が言われるとおり、それを防ぐのは民衆がその煽動に惑わされないことである。残念ながら私の乏しい経験の中でも全体の風潮に浮かされて、ただ名 野田総理大臣、税と社会保障の一体改革に真剣に取り組むと度々言明している。消費税増税がメインのテーマみたいになってしまっている。それで、マスコミは増税ばかりが先行して社会保障が一体どうなるのか明確でないと注文を付ける。又、消費税増税に先立って税金の無駄遣いを徹底的に止めること、国会議員が率先して身を切る努力が求められるのに、それが先送りされてしまっており、食い逃げされるような危惧も抱かれている。民主党内にも反対の声が強い。 確かに、日本の財政は大変な負債を抱えている。国民総生産の二倍近い借金がある。ヨーロッパの金融危機どころではない。予算も半分が赤字国債、一体こんな事が許されていいのだろうか。専門でないので本当のところはよく分からないけれども、これが正常でないことくらいは分かる。借金を返すにはインフレになった方が楽だから、いつインフレになるのか油断も隙もならない。物価が上がるのが当然というのも本当は私には理解できない。そういう状況から考えれば、素人の判断としては、増税やむなしということになる。しかし、本当にそうかどうか。 本当に本当のことを聞きたい。 それはそうとして、ここでわたしが言いたいことは、「重たい決意」ということについてである。国会における党首討論でも、盛んに野田首相は「重たい決意」を強調していた。「おもたい」と言われると、私は何か形のある物を思い描く。私ならこれは「重い決意」と言うだろうが、何回も聞いている内にこれでもいいのかと思えてくるから不思議である。「おもい」も確かに「重い荷物」などと「目方が多い」事に使う。しかし、「重い決定」「重い判断」などというように事が重要であるというような意味でもあり、このとき「おもたい」とは言いにくいように思う。「おもたい」には余りそういう意味はなかったように思うのだが、どうなのだろう。 きちんと調べてないけれども、「おもたい」はそんなに古い言葉ではない。「おもい」は古くから使われている。(田 2012年4月13日記)前が売れているだけの芸能人やそれに類する人達が総選挙や参議院選挙に立候補して当選したことがあった。その中でまともな人達は生き残ったが、ただ闇雲にブームに乗って当選したようなのは長続きしなかったのは幸いであった。しかし、そういうことが現にあったことも事実だから、油断は出来ない。 やはり地道なきちんとした教育により、まともな市民を養成することがいつの時代にも大切なのである。(田 2012年4月12日記)重たい決意

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